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僧侶のお墓・無縫塔(卵塔)

僧侶のお墓・無縫塔(卵塔)

栃木市にありますお寺さんから、歴代ご住職のお墓移設のご依頼をいただきました。

お寺のご住職に許可を得てませんのでイラストになりますが、ご依頼いただいたご住職のお墓、上記の

ような形をしておりました。

こちらの形のお墓、ご覧になったことはございますでしょうか?

お寺の境内にお墓をお持ちの方は「あ、何か見たことあるぞ」とピンときたかもしれません。

こちらは「無縫塔(卵塔)」という形態のお墓で、主に僧侶のお墓として使われています。

鎌倉時代初期に禅僧が中国留学したことで伝来されたのですが、今日では宗派を超えて建てられて

います。

みなさんが“お墓”と言って思い浮かべるあの四角くて細長いお墓、いわゆる和型三段墓は、「角柱塔」

という種類の石塔に分類されます。

今日見られる多くの仏塔が釈尊の仏舎利を納めたストゥーパ(卒塔婆)をルーツとしているのに対し、

角柱塔については、位牌が原点だとか、板碑が元になっているだとか、はたまた古来からある笠塔婆の

笠がないバージョンだとか、一番身近なお墓にもかかわらずその起源については結論が出ていない

というのが本当のところです。

江戸時代になって庶民の経済的安定や幕府による檀家制度の確立を背景に、墓石は急激に一般に普及

し始めます。

仏塔は装飾が複雑なものが多い中、角柱だけなら費用も少なく抑えられるため、一般庶民に広く受け入

れられるようになった思われます。

そういう点から言いますと、無縫塔もだいぶシンプルですのでもっと一般人のお墓として利用されて

きていてもいいのではないかと思いますが、今のところそういう流れにはなっていません。

しかし、五輪塔のように、昔は高貴な方々のお墓として使われていたものの、今では普通のお墓でも

見られるようになった仏塔もありますので、もしかしたらゆくゆくは無縫塔も大衆化していくかもしれ

ません。

      五輪塔 ↓

もし今回無縫塔をご覧になって、「なんだかロケットみたいでカッコいいな!」と、自身のお墓として

建立することをご検討される方がいらっしゃいましたら、建てること自体は可能ですが、石屋としまし

ては「う~ん・・」といったん首をひねらせてはいただきます。

法要の際、ご住職にぎょっとされるのが目に見えていますが、建てちゃいけないわけではございません

のでご興味のある方はご相談いただければと思います。