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ワンニャンと合葬

犬猫等のペットと一緒にお墓に入ることのできる墓所が近年広がりをみせています。
今や犬猫の飼育頭数が15歳未満の子どもの数を上回っていることを考えると、当然の流れかと
思われます。
ただ、後継者の不在や簡易化を求めて急速に拡大している樹木葬とは異なり、ペットとの合葬が
一般的になるのにはもう少し時間がかかりそうです。
愛するペットとの合葬を望む声が多くなっているのは確かなのですが、寺院や霊園さんが我も我もと
簡単にその流れに追随するわけにはいかない理由があるのです。
仏教では「六道輪廻」という教えがあり、死後は魂が「地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天」の6つの
世界を繰り返し生まれ変わるとされています。
犬猫等の動物は「畜生」の世界に分類されており、「人間」よりも下位の存在とされています。
本能のままに生き、弱肉強食の世界であり、常に強者におびえ続け、苦しみを受けて死ぬ。
穢れた不浄の存在であるというのです。
・・・ちょっとショックじゃないですか?
ミミズだってオケラだってみんなみんな友達なんじゃなかったの?
そしたらこの歌の思想はどこから来たのか新たな疑問が生まれてきますが、とにかくレベルの違う
畜生と人間を一緒の墓に入れるのはタブーという考えが根本的に仏教にはあります。
一方神道ですが、思想として「動物は下等だ」ということはないのですが、やはり「動物は
不衛生だ」という考えから、人間との合葬は敬遠されてきました。
犬に限って言いますと、たしかに1950年代以降の狂犬病や他感染症のワクチンが普及するまでは噛まれ
たら死ぬ可能性もあるし、昔は野良犬が多くいましたからそこら辺で粗相をされたりして、「危険で
不潔な存在」という扱われ方をしていたのは否めません。
神社は神様がいらっしゃる高潔な場所です。
ご先祖さまも祖先神として私たちを見守って下さっています。
こうなりますとやはり神様と動物を一緒にというのは難しいのかもしれません。
一方法律の方はどうかといいますと、「墓地埋葬法」の規定には特段ペットとの合葬を禁止する記述は
ありません。
ただ、「墓地等の管理等が、国民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他の公共の福祉の見地
から、支障なく行われるよう、その権限の適切な運用が求められている。」とあります。
動物との合葬についての具体的な記述はないものの、「宗教的感情」に配慮する様定められています。
となりますと霊園等を管理する方々からしましたら、上記の宗教的概念をなんとかしないことには
やはり難しい問題なのかもしれません。
仏教の思想にそんなに造詣が深いわけではないので安易なことは言えないですが、ちょっと疑問
に思う点がございます。
「人間以外の動物は畜生だ」なんて、お釈迦様、本当に言ったのかな・・・
幼少期、仏教の幼稚園に通っていまして、そこで見ましたお釈迦様の絵本には、鹿やウサギに囲まれて
座禅を組むお釈迦様のお姿が描かれていました。
自然界に溶け込むように静かに座禅を組むご様子からは、そんな思想を持っていらっしゃるようには
とても見受けられませんでした。
六道の概念の解釈が浅いだけなのかもしれませんが、どうも解せないなぁとどうしても首をひねって
しまいます。
私事ですが、去年に愛犬を亡くしました。
遺骨はどうしているかといいますと、未だに自宅で遺影の隣に保管してあります。
ペットは子供と違って死ぬまでずーっと自分たちの手元を離れずにいます。
なので、ペット専用の霊園もたくさんありますが、離れて納骨するのはなんとなく一人ぼっちにして
しまうような気がして躊躇してしまう自分がいます。
できることなら一緒のお墓に入りたいという思いは、ペットを飼っていらっしゃる方々からすれば
自然に湧き上がってくる感情なのではないでしょうか。
時代と共に物事の捉えられ方は変化していくものです。
仏教等の宗教が時を超えて長らく民衆に受け入れられてきたのは、その根本的な教え・思想が多義性を
持つものだからではないかと考えます。
どの時代にもマッチするように流動的に解釈がなされて然るべきものなのではないでしょうか。
もちろん「動物が一緒に埋められてるお墓なんて!」というお考えの方も多くいらっしゃるであろう
ことは理解しております。
概念の相違にはもちろん心を配り、共存できるやり方を模索しつつにはなると思いますが、ペットと
一緒に永眠できることがもっと一般的になったら素敵だなぁと、いち動物好きとしては夢想せずには
いられないのです。