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のぼり旗の刹那

近所の餃子無人販売店ののぼり旗が見るも無残な姿になっています。
通勤路にあるため頻繁に目にするのですが、「あ、ちょっと破れ始めたな」と気づいてから
あれよあれよという間に見る影もなくなり、今はハンカチを干してるのかな?くらいの量の布が
残っているのみです。
何であんな汚くしてるんだよー、ちゃんときれいにしとけよーと大抵の方はお思いになるでしょう。
しかしのぼり旗を管理していらっしゃる店舗の方々は、汚いのぼり旗にちょっと共感を覚えるところが
あるのではないでしょうか。
当社もたくさんののぼり旗を設置いたしております。
日々、破れはないかな?ほつれてないかな?とチェックするのですが、のぼり旗はなかなかに
劣化が早い。
昨日あっちのぼり旗を交換したのに、今日はこっちのやつがほつれ始めてる!なんてことは
しょっちゅうです。
のぼり旗を交換するのはそこまで手間はかからないのですが、思いのほか早くボロになってくるため、
「もったいないからほつれたところを切っちゃって、もう少しがんばってもらうか」なんて猶予を与え
ているうちに、目も当てられない状態になってしまったりいたします。
のぼり旗の寿命は一般的に3ヵ月程度だそうです。
金属製の看板などに比べたらだいぶ短い寿命ですが、のぼり旗の特性を考えればそれはもう致し方
ないでしょう。
サンサンと日に照らされてバタバタと風を受けることでお店の存在を知らせてくれるのぼり旗。
その反面、目立てば目立つだけ己を痛めつけ、あっという間にその役目を終える。
そんなのぼり旗に仏教の教え、「刹那」を思うのは私だけでしょうか。
刹那は、ありとあらゆるものすべてが短い時間のなかで千変万化していることを表現する言葉です。
人間の意識は、この刹那の間に何度も生成と消滅を繰り返すのだそうです。
のぼり旗も自身の役目を果たすと同時にその役割を終える道も辿っています。
お釈迦さまはお弟子さんに「今日、ただ今、この刹那を大事にして生きなさい」と諭したと言われて
います。
後先考えると憂鬱になるばかりの毎日ですが、自身の行く先も考えず今を懸命に輝くのぼり旗のよう
に、この一瞬一瞬に全力を尽くし集中して大切に生きることで、無駄な不安やストレスから抜け出し、
より充実した日々を送ることができる。
店頭で健気にはためくのぼり旗に、そんな教えを説いていただいた春うららかな昼下がりです。
今朝も1本びろんとほつれが出ているのぼり旗を発見いたしました。
昨日はそんなになってなかったんだけどなーとちょっと恨み節は出ましたが、今まで頑張ってくれた
のぼり旗に感謝しながら交換したいと思います。